僕の家は十数年猫を飼っていた。名前はウっちゃん。白猫だった。17年くらい生きていたので猫としては長生きな方だと思う。もうウっちゃんは家族の一員も同然だった。

そんなウっちゃんがある日、家に帰ると顔の頬をパンパンにして僕のことを待っていた。
「どうした! ウっちゃん!! 」

気が付いたら僕はそう叫んでいた。わが猫だからではないけれど、ウっちゃんはとても綺麗な顔立ちをしていた。
「まるで置物みたいですね」

家に訪問した来客がそう言ってしまうほど気品のある雰囲気だった。
そのウっちゃんの顔の頬が、もう見る影もなくパンパンに腫れているのである。

そんな時、飼い主としては病院に連れていくの前に、わが身のように心配してオロオロしてしまっていた。どうすればいいかわからない。

顔はパンパンの腫れているけれど、ウっちゃん自身は何事もなかったかのようにケロっとして、いつもの様に日課のご飯を求めて甘えてくる。
「やっぱりこんな時は動物病院だな」

そう思いついた僕は車に乗るのを異常に嫌がるウっちゃんを連れて、近所の動物病院を訪れた。

動物病院は最近出来たばかりの比較的新しく、綺麗な待合室だった。
ウっちゃんも一安心だっただろう。嫌がっていたけれど。

待ち時間が流れ、遂にウっちゃんの診察の時がきた。
診察室に入るとウっちゃんはとにかく来たこともない部屋をきょろきょろと落ち着きなく見まわしていた。

「おお~、お前かわいそうだなあ」
パンパンに腫れたウっちゃんの顔を見るなり動物病院の医師はそう言った。
「馴れ馴れしい人だな」

僕は内心そう思ったが、今はそれどころではない。ウっちゃんの顔の晴れを治すことが先決である。

ウっちゃんの顔が腫れていたのは口の中にばい菌が入り込み、そこから膿んで腫れていることが原因だった。

顔を触られるだけでウっちゃんは嫌がっていたが、医師の先生はがっと口をこじ開け、膿んでいる個所を特定し、「膿みを出しましょうか」と、言って注射針でウっちゃんの頬っぺたを刺した。

鳴き声にならないの悲鳴にも似た声を上げるウっちゃん。
「ウっちゃん、頑張れ!! 」
心の中で涙声で叫び続けるウっちゃんを応援し続けた。

無事、顔の膿は全部外に出て、ウっちゃんはぐったりしていた。でも顔の腫れは引いていたので取り合えず一安心。感染症になどかかる前で本当に良かった。

家に帰ってからウっちゃんはいつもよりも最初は元気がなかったけれど、日にちが経つにつれ徐々に元の元気さを取り戻した。

あんなに痛々しく鳴く、ウっちゃんを見るのは辛かったけど、ウっちゃんが良くなって動物病院の先生に感謝した出来事でした。