4年前の夏、毎日の忙しさにつくづくと嫌になっていて、昼下がりにパソコンに向かいながらぼんやり考えました。

この殺伐とした仕事部屋にも、何か生き物の姿が有れば少しでも和むことができるんじゃないだろうかなぁと。

早速やりかけの仕事を放り出して、近所のホームセンターのペットコーナーに向かいました。

仕事部屋は賃貸マンションなので、ペットは禁止です。でも、金魚ならいいだろうなぁと思い金魚売り場に向かいました。

様々な金魚がゆらゆらと泳いでいて、これはリラックスできるなぁと一人納得していました。

選んだ金魚は琉金。水槽の中で一番活発に泳ぎ回ってるヤツです。水槽もその他道具も一切持っていないので、あれもこれもと

飼育道具を選んでお持ち帰りです。

以前、熱帯魚を自宅で飼っていた経験があるので、まぁ同じような感覚かなと敷砂利、水中ポンプ、濾過機、水のセットから始め、

置き石や飾りも水槽にセットです。

連れて帰った琉金は、オスなのかメスなのかも不明ですが、こちらの適当な感覚で紋次郎と名づけました。

もし、メスだったら申し訳ないことです。

買ってきたばかりの紋次郎は、全長で3センチぐらい。けれど、新居にいれてやっても臆することなくやっぱり元気です。

我が物顔で水槽の中をぐるぐると泳ぎ回ります。

あぁ、これは良い買い物だったなぁとニコニコしたものです。
毎日エサをあげると、徐々になれ水槽に近づくと寄ってくるようになりました。水面で口をパクパクとやって催促をしています。

こうなるとカワイイです。なにしろ相手は金魚なので、意思の疎通はできないけど、慣れてくると実にカワイイ。

エサもパクパクと食べ、特に病気をすることもなく順調に育ち、大きさは6センチぐらいまで大きくなっていました。

その紋次郎が今年の初夏、何もエサを食べなくなってしまいました。え?なんでなんで?と慌てました。

徐々に元気がなくなっていく紋次郎。水槽の水だっていつも管理してるし姿形に異常が見られるわけでもない。

全く理由がわからず、途方にくれて時間だけが過ぎてゆきます、そうして2週間が過ぎたころ、仕事部屋に出勤してきてみると、

紋次郎はお腹を向けて水面に浮かんでいました。

金魚ぐらい・・・と思うかも知れませんよね。けれど、紋次郎とは会話も成り立たないし一緒に遊ぶこともできなかったけど、

確かにトモダチだったなぁと思うのです。

徹夜仕事や受注元から無理難題を吹っ掛けられてウンザリしてるときも、マイペースで

ゆらゆらと水槽を泳ぎ回って僕のメンタルを救ってくれたなぁ。

人気のない公園の片隅に小さな穴を掘って埋めました。

ちょっとやそっとでは動かないような大きな石を見つけてきて、墓標として置きました。

紋次郎ほどの金魚が見つけられないので、仕事部屋の水槽はからっぽのままです。

僕は毎日不機嫌そうにパソコンに向かっています。