昔シベリアンハスキーという犬種の大型犬を飼っていたことがあります。きっかけは、知り合いの紹介で動物病院を介して当時生後半年だったハスキー犬を譲り受けた事でした。

大型犬、特にオスでしたので1歳になる頃には体がかなり大きくなっていました。

日々の散歩での運動量を確保するのが大変なほどでしたが、ハスキー特有の怖い顔とは裏腹に、とても人懐っこいく愛嬌のある性格でしたから、家族の一員としてとても愛されて暮らしていました。

最初に異変があったのは、飼い始めて8年ほど経った頃でした。いつもと変わらぬ生活リズムだったはずの愛犬が、なぜか普段と違う時間に散歩を要求して吠えたり、よくわからない時間帯に吠え出すことがありました。



一番困ったのは、それが夜や夜中に起きた場合です。初めはよく眠れるようにと、人間同様に日中の散歩の量を増やしたり思い切り走らせ運動量を増やしたりしたのですが、効果はまちまちでした。

外で飼っていましたから、さすがに夜に騒がれるのは家族よりもご近所さんに迷惑がかかると思い、近くの動物病院へ相談に行きました。

診察結果は、なんと老化現象。人間で言えば更年期や痴呆初期にあたる症状で、体内時間のズレから夜眠れないのではないか…という事でした。

愛犬を飼うまで我が家はペットを飼った経験が無かったので、老化によるものだとは誰も予想していませんでした。



大型犬は10年生きると長生きと言われるそうなので、これからは老後の対応を視野に入れて下さいと言われ、その時は睡眠薬を処方してもらいました。

睡眠薬は錠剤で、普段の晩御飯に混ぜたり、時間を調整しながら夜眠りにつけるように与えていました。

しばらくは睡眠薬での対応で生活していましたが、その間にも時々足を引きずって歩く日があったり、物にぶつかったり隙間に足を落としたり…と、いかにも老犬らしい状況を目にすることが日に日に増えていきました。

そして時が流れ、愛犬を飼い始めて13年目の夏。いよいよ痴呆が進んでしまい、夜中の無駄吠え等が頻繁になってしまいました。


その当時も睡眠薬は処方されていたのですが、歳をとりすぎると脳がスポンジのような状態になってしまうらしく睡眠薬は通常より多めに飲ませてたとしも本来の効果は得られなくなっていました。

亡くなるまでの数日は、愛犬にとっても家族にとっても朝も夜もなく、今思えば最期の抵抗のような体力を絞り出して暴れるような日々でしたが、最期はパタリと眠るように息を引き取りました。

老化してからの愛犬の世話は大変でしたが、それでも最期まで飼う事ができてよかったと思うと同時に、あれ以来別の犬を飼おうという気持ちにはなれませんでした。

それは大変だからではなく、やっぱりあの子がいつまでも我が家の「愛犬」だと思っているからです。