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ペットブームと呼ばれ、久しい。
その始まりはどこからだろうか、特定は困難を極めるほど、今や当たり前に人と動物は共存している。

大手携帯電話会社が犬を使えば、張り合うようにwifi業者が猫を使う。
著名な芸能人が飼い猫を着飾り、ブログで可愛がる様を見れば、ファンはほぼ骨髄反射でそれと同じ猫を求め、同じように着飾る。
そして、可愛い盛りを過ぎれば古くなった洋服を捨てるように、処分する。

全ての飼い主がそうでない事を願いたいが、それが日本のペットブームの現実である。
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我が家では、最大で6匹の犬と共に暮らしてきた。始まりは私が幼稚園の頃。まだ垂れた耳、大きな手足に不釣り合いな小さな体、丸まった尻尾、愛らしくも賢そうな黒い瞳。
柴犬の子犬が家族として迎えられた。当時、一番下だった私より小さな生き物に戸惑ったものだったが、戸惑いなど杞憂であり、その柴犬はあっという間に私の背丈を追越した。

彼は私達家族の番犬として、誰よりも勇敢に振る舞った。散歩のときなどは、もっとリラックスしても良さそうなものだが、常に凛とした視線を前に向け、堂々と歩いた。
年老いた祖母に合わせゆっくりと歩いたり、運動不足気味の父親を走らせたり、彼は家族中の誰よりも家族思いだった。

そんな彼と10年以上共に暮らしただろうか。寄る年波には勝てず、散歩の回数も減り、大好物だった硬いジャーキーも食べられなくなった。軒先で眠る姿が目立つ様になった。
私はその当時、高校生で、まだ未来も見えない子供であったのに、それと半比例するかのように衰えていく彼の背中はどこか寂しそうだったのを今でも憶えている。

彼なりに、家族を護る力が失われつつあることを知り、それが辛かったのかも知れない。
今度は私達が彼を護る番。そんな矢先の出来事だった。とりわけ朝から暑い日だった。連日の暑さに弱る愛犬を心配しながら帰宅をすると、祖母が玄関先で酷く狼狽していた。

その足元では、彼がビニール袋に顔を突っ込み、横たわっていた。
何が起こっているか理解できなかったが、祖母の話によると、最近は夏の暑さを遮断するため玄関先が彼の定位置になっていた。

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栄養のある食事を摂り、涼しい玄関先で体調を取り戻しつつあったことに気を良くし、少し悪戯をしてみたくなったのだろう。壮年期の彼は、賢く頼れる日本犬であると同時に生粋の悪戯っ子でもあった。生まれ持った頭の良さで、隠れたおもちゃを探し出す、変わった匂いの土を掘ってみて泥だらけになる、そんなこともままあった。

それがこんな形で発揮されるとは、家族の誰も予想しなかった。私はとにかくビニールを剥がし、自分の背ほどもある彼を抱え、近所の動物病院まで走った。
思っていたよりずっと軽く、痩せ細っていて、運ぶのが容易く、その事が余計悲しかった。
そしてその晩、馴染みの病院の一室で、彼は息を引き取った。院長先生のお話によれば、眠っているようだった、と朝一番の電話で聞いた。

小さかった彼が、あっという間に私を追い越し、あっという間に私を置いて行った。動物を飼うのは彼が初めてだったため、その逞しさと儚さに、非常にたくさんの事を学ばせてもらった。

縁あって一緒に生きること、教えること、教わること。その意味を、昨今のペットブームに踊っている人々に、今一度考えて貰いたい。

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